食品業界の現状(2020年)

外食の比率は減少

食品産業のうち外食業界は、2000年代、2010年代を通して、地殻変動に見舞われた。食の安全・安心財団(東京都港区)の調査によると、全国の食料・飲料支出額64兆6253億円のうち、「外食」に対する支出の割合を示した「外食率」は35.9%だった。外食率は1990年代前半までは37%を超えて推移していた。つまり、緩やかな減少傾向に陥ったるのだ。

惣菜は堅調

一方で、外食に総菜などの「料理品小売業」を加えた「食の外部化率」は45.1%に達する。これは、1990年代前半と比べて、約4ポイント高い。

「中食」が増加

つまり、食事を家庭内で調理しない「外部化」傾向は強まっている。しかし、「外食」する割合が減っているということだ。これは、出来合いの食品を外で購入し家や職場などで食べる「中食(なかしょく)」が増えたことを意味する。レストランで食事をする機会は減少した。既存の外食企業の立場からすれば、店内に食事をするためのスペースを設ける必要が薄れてきていることになる。

中食とは

中食とは、家庭で調理する「内食」とレストランなどで食事をする「外食」の中間という意味。店で買えばそのまま食べられる総菜、弁当、おにぎり、パン、ホットスナックなどを自宅などで食べることを指す。

持ち帰りを増やすチェーン店

飲食スペースを作らず、持ち帰り(テイクアウト)の業態にすれば、既存の外食業態に比べて家賃や光熱費、接客の人件費などの抑制を期待できる。従来型の店舗より狭小な物件でも営業できるため、特に都心部などでの出店余地も広がる。こうした理由から、既存の外食チェーンは、こぞって持ち帰り業態の開発に注力してきた。

コロナの影響

食品業界のうち、2020年の新型コロナウイルス感染拡大で最も打撃を受けたのは「外食」だ。 飲食店の多くが、2020年4~5月前後に、店舗の臨時休業や短縮営業に踏み切った。 そのため一部の洋風ファストフード業態を除き、すべての業態で既存店売上高が前年同月比で強烈な落ち込みを記録した。

不採算店の閉鎖

業界内では、コロナ拡大がひと段落した後も、店内での飲食を敬遠する消費マインドがしばらく続くとの懸念が強まった。また、席数間引きも継続する必要性に迫られた。 このため、チェーン店各社は不採算店舗の閉鎖を進めた。

外国人技能実習生が来日できず

コロナ感染拡大に伴う入国制限で、外国人技能実習生が来日できなくなった。外国人技能実習生は、農業や水産加工、建設技術などを学ぶ目的で来日し、農家にとっても貴重な働き手になってきた。しかし、コロナ禍で中国やベトナム、フィリピンなどから来て農業を学ぶ予定だった数千人が来日できなくなった。

農作業も人手不足

2020年の農繁期には、農業の現場の人手不足を補うため、様々な人材確保に取り組んだ。地元自治体や農協なども支援し、休業中のホテルや飲食店の従業員、アルバイト先を失った大学生たちが農業現場で働き始めた。



スナップアップの食品株の推奨銘柄の実績例(2020、2019年)

スナップアップ投資顧問の食品株の推奨銘柄の実績の一部です。以下の業種が対象です。

  • 食品スーパー
  • ファミレス
  • フードデリバリー(宅配・出前)
  • 食材・食品関連資材
  • 居酒屋チェーン店
  • 食事の持ち帰り(テイクアウト)
  • ファストフード
  • 健康食品
  • カフェ・喫茶
  • 飲食店の販売促進サポート
  • 弁当チェーン
  • 回転寿司チェーン

■ 北の達人(2019年7月推奨)

業種 健康食品のネット通販
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
595円
(2019年7月10日)
推奨後の高値 767円
(2019年8月9日)
上昇倍率 1.2倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部、札幌証券取引所市場
(2012年5月、札幌証券取引所アンビシャス市場に上場)

北海道産の食材を使った健康食品

自社サイト「北の快適工房」で販売

北の達人は、北海道産の食材を使った健康食品や化粧品の販売を手掛ける。オリジナル商品を自社で開発し、インターネットで直販するスタイルだ。販売ルートは、自社のサイト「北の快適工房」。

ダイエット商品などに絞る

開発する商品の種類を絞っているのが特徴だ。健康や美容の悩みの改善が期待できる商品に注力している。ダイエットやアトピーなどがテーマ。定期購入やリピーターが多いという。

生産拠点は有しておらず、商品の製造は外部委託している。

自前でネット技術を培う

商品開発だけでなく、ネット通販の技術も自前主義にこだわっている。顧客の行動パターンを計測できるデータ分析システムを社内で開発・運営してきた。また、ネット広告も自社で実施する。広告代理店には依存せず、ノウハウを社内で培っている。

主力はオリゴ糖

主力商品は健康食品「カイテキオリゴ」。オリゴ糖を配合した粉末である。北海道道産のテン菜・ビート(甜菜)から抽出・精製された高純度結晶オリゴ糖を多く使用している。家庭用粉末オリゴ糖で日本一の売り上げを誇る。

便秘対策

胃腸の働きを助け、便通が良くなるという。便秘に悩む女性らが購入している。

その他の商品

その他の商品には、ヒアルロン酸化粧品「ヒアロディープパッチ」、低分子ポリフェノールを主原料とするサプリメント「紅珠漢(こうじゅかん)」、腸のぜん動運動を徹底研究して開発した「カイテキどかスリム茶」などがある。

ニッチかつベーシック

これらの商品は、ニッチな市場の分野に属する。大手企業が参入するにはマーケットが小さい。価格競争に陥らずに済む。こうしたニッチ市場に特化し、かつ、流行に左右されないベーシックな商品を提供する。

「ワケあり商品」事業の教訓

ベーシックなニッチ分野にこだわるようになったきっかけは、「訳あり商品」事業にある。2007年、足の折れたカニなど、見た目は悪いが品質に問題のない商品を格安で販売するサイト「北海道わけあり市場」を、他社に先駆けて立ち上げた。その後、「訳ありグルメ」と題し、脚が折れた北海道産カニなどをネット販売した。

大手に真似される

しかし、「ワケあり」市場がマスコミに取り上げられて話題になると、大手が次々と参入してきた。類似サイトが続々と開設された。その結果、売り上げが激減した。「アイデア勝負のネットビジネスはすぐにまねをされる。アイデアではなく商品の品質で勝負しないと駄目だ」という教訓を得たという。

創業者は、木下勝寿氏

設立は2002年。当初から、北海道特産品のインターネット販売を手掛けることを専門分野とした。

大阪で起業し、失敗

創業者は、木下勝寿氏。1968年10月生まれ。神戸市出身。関西大卒業後、大阪市内で就職。その後脱サラし、起業をした。一度は事業に失敗したという。

憧れの北海道・札幌へ移転

それでも事業をあきらめなかった。子供のころから北海道に憧れていたこともあり、2002年に道内の特産品をネット販売する会社を大阪市に設立した。社名は「北海道・シーオー・ジェイピー」。これが現在の「北の達人」である。その後、札幌に本社を移した。

2007年に通販サイト開設

2007年、健康美容商品の通販サイト「カイテキフレンドクラブ(現、北の快適工房)」を開設した。2009年に現社名に変更した。

札幌市場で上場

アンビシャスの救世主

北の達人が上場したのは、2012年5月だ。札幌証券取引所の新興企業向け市場アンビシャスでのIPO(新規上場)だった。木下勝寿社長が43歳のときだ。

2015年11月に東証1部に昇格

アンビシャスへの新規上場は2008年2月の広告業インサイト(札幌)以来4年3か月ぶりだった。アンビシャス市場では2011年9月以降、有価証券報告書の虚偽記載や倒産などで、3社が相次いで上場廃止となり、上場企業は7社まで減少していた。信頼回復と、上場企業の増加が大きな課題となっていた。北の達人は、札証にとって救世主的な存在となった。

2013年に札証の本則市場へ昇格。2014年11月に東証2部にも上場した。2015年11月に東証1部に昇格した。

年間の株価上昇率が「日本一」に

2017年の年間の株価上昇率が、全国すべての上場企業の中で「日本一」になった。なんと、年初から年末までの株価が10倍になったのである。いわゆる「テンバガー」の達成であった。

参考:日本の年間株式上昇率ランキング→

投資家が「地道な取り組み」を評価

2017年当時は、特別な大ヒット商品が出たわけではなかった。それよりも社内の販売・宣伝体制などの改善に取り組んできた成果が業績に反映されるようになり、投資家からも高い評価を得られるようになった側面が強い。

「刺すヒアルロン酸」が爆発的ヒット

2019年になると、「刺すヒアルロン酸化粧品『ヒアロディープパッチ』」が爆発的ヒットを記録。これはヒアルロン酸などの美容成分を凝縮した針を直接肌に刺すという商品だ。姉妹商品も販売され、「刺す化粧品~ディープパッチ」シリーズとして定着した。


■ ティーライフ(2020年8月推奨)

業種 健康茶の販売
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
1,050円
(2020年8月11日)
推奨後の高値 1,434円
(2020年8月28日)
上昇倍率 1.3倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2012年3月、ジャスダックに上場)

健康茶をカタログ販売

ティーライフは、健康茶の販売会社である。本社は静岡。ネットと自社商品のカタログ通販で売る。定期購入の比率が高い。

主力は「ダイエットプーアール茶」

看板商品は「ダイエットプーアール茶」。女性に人気があり、ロングセラーとして定着している。このほかの健康茶として「メタボメ茶」「まるごとさんかく茶」などがある。いずれも自社で開発したオリジナル商品だ。お茶以外に、サプリメントなどの健康食品も扱っている。

定期購入が多い

健康食品の商品カタログ「さらら」を配布している。カタログから注文が最大の収益源となっている。定期購入をしている顧客が多く、収入が安定している。化粧品の販売も行っている。

強力なライバルが少ない

また、ニッチ(隙間)市場で勝負しているため、強力なライバルが少ないのもアドバンテージだ。

1983年設立

緑茶のティーバッグ加工からスタート

1983年、静岡県島田市(当時は金谷町)で設立された。創業者は植田伸司氏。緑茶のティーバッグ加工と通信販売からスタートとした。健康を重視した商品に開発に力を入れ、1998年に発売した看板商品「ダイエットプーアール茶」がヒットした。

製造を外部に委託

2002年にすべての製造を外部に委託。製造工場を持たず、商品の企画・開発に注力するようになった。

2012年にジャスダック上場

さらに、2003年にはインターネットでの通信販売を開始。2012年3月、ジャスダックに新規上場(IPO)した。上場時点では、売上高に占める割合はカタログが7割、ネットが3割だった。その後、スマホからの注文の比率が増えた。

コロナで販売増

2020年のコロナウイルス大流行の局面では、自宅で過ごす人が増えたことが受けて、ネットやテレビショッピングからの注文が伸びた。

静岡県の掛川と袋井に物流拠点

静岡県には技術力の高い茶葉の加工業者が集積していることもあり、上場後も本社を静岡に置いている。また、静岡県の掛川と袋井(ふくろい)に物流拠点を所有している。他の通販業者や物流業者に対して、物流スペースや機能の貸し出しを行っており、これも収益源の一部になっている。

創業者・植田伸司氏

コマツ、製茶問屋を経て起業

創業者・植田伸司(のぶじ)氏は1946年生まれ。本社のある静岡県島田市(旧川根町)の出身。産業機械の会社(静岡小松フォークリフト)で営業をしていた。この会社を退職後、製茶問屋(覚丸文佐藤商店)勤務を経て、起業した。


■ cotta(コッタ、旧タイセイ)(2020年8月推奨)

業種 お菓子の包装紙
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
780円
(2020年8月19日)
推奨後の高値 969円
(2020年8月24日)
上昇倍率 1.2倍
現在の株価 こちら→
市場 マザーズ福岡Q-Board
(2005年2月上場)

お菓子とパンの「材料屋さん」

cotta(コッタ)は、お菓子などの包装資材や食材の販売会社。本社は大分県。食材の通販サイト「cotta(コッタ)」を運営し、菓子店やパン作りを趣味としている個人に対して通信販売を行っている。

自社サイトで販売

自社サイトcottaでは、包装製菓材料、包装資材、調理器具、キッチン雑貨など、お菓子・パン作りに必要なものをそろえている。業界最大規模の品揃えだという。

4割がオリジナル商品

自社商品の開発にも注力している。売上高に占める自社商品比率は4割程度とされる。

1998年設立、保冷剤からスタート

1998年の設立。創業者は佐藤成一氏。1958年1月生まれ。当初は鮮度保持剤(保冷剤など)の通信販売に取り組んだ。本社コールセンターで菓子店から注文を受け付け、スピーディーに配達する態勢を整えた。

「小口注文」で人気

急成長の要因となったが、「小口注文」だ。当時、菓子店から資材業者への注文は、最低1万個からというのが主流だった。このため、小さな店は大量の在庫を抱えることになり、苦慮していた。

全国の菓子店へ配達

そこで、少量から受け付ける小口注文制を導入。品物によっては1個から受け付けた。全国の店から注文が届き、取扱品目も包装資材やケーキ箱、カップなどへと広がった。 また、宅配便で配送し、1,2日で届くという素早さも人気となった。

2005年、福証Qボード上場

2004年に自社の配送センターを整備。同時に弁当関連の資材販売を開始した。2005年2月、福岡証券取引所の新興市場「Qボード」に上場した。

電話注文からネット注文へ

創業以来、FAXと電話での注文受付が主流だったが、上場後はネット取引を拡大させた。そのけん引役となったのが、2006年に開設した個人向けの食材通販サイト「cotta」だ。業界に先駆けて専門性の高いサイトを指向し、客層を広げた。2013年9月、東証マザーズにも上場した。

実娘の黒須綾希子が後継

2020年1月、佐藤氏(当時61歳)の後継者として、実娘の黒須綾希子(くろす・あきこ)氏(当時35歳)が社長に就任した。黒須氏は2007年明治大商卒。人材派遣会社インテリジェンス(現パーソルキャリア)入社。2010年タイセイ(現cotta)に入社した自社サイトによる販売の拡大に取り組んだ。固定ファンを抱えるブロガーらと契約を結び、「インフルエンサーマーケティング」を展開した。

コロナの巣ごもり需要で伸びる

2020年3月、社名をタイセイからcottaに変更した。2020年のコロナ渦では、通販サイトでの売上高が急増した。自宅にこもってパンやケーキを作る人が増えたためだ。


■ インパクトホールディングス(旧メディアフラッグ)(2020年7月推奨)

業種 飲食店の覆面調査
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
1,555円
(2020年7月7日)
推奨後の高値 1,879円
(2020年7月28日)
上昇倍率 1.2倍
現在の株価 こちら→
市場 東証マザーズ
(2012年9月上場)

飲食店を覆面調査

インパクトホールディングスは、飲食店などの覆面調査会社。フランチャイズやチェーン店を運営する企業の本社(本部)から依頼を受けて、調査員が客になりすまして各店舗を訪問。食事の味や接客などをチェックする。

ドラッグストアや金融機関も

飲食業や食品スーパーなどのほか、ドラッグストア、日用品雑貨、金融機関などの多岐に渡る業種に対応している。

柔軟な調査

覆面調査は従来、チェーン店が定めたルールやマニュアルが実行できているかをチェックする目的で実施されてきた。とはいえ、調査の着眼点やテーマは企業によって異なる。インパクトホールディングスは、それぞれの顧客企業のニーズをくみとったきめ細かい調査に柔軟に取り組んできたという。

ラウンダー業務も

覆面調査以外に、メーカーからの依頼で、小売店の売り場の商品陳列や広告表示を専門スタッフが点検する「ラウンダー業務」も手掛けている。ラウンダーは、調査するだけでなく、さまざまな販売促進(販促)の支援活動を行う。

事業再生ビジネス

事業再生ビジネスにも力を入れている。覆面調査に基づく改善提案を通じて蓄積したノウハウを生かし、元気が無くなった企業を、自ら蘇らせるという。和菓子製造の十勝たちばな(埼玉)など買収し、再生に取り組んでいる。

2004年設立。創業者は銀行出身の福井康夫氏

2004年に設立。創業者の福井康夫氏は1968年生まれ。早稲田大卒。旧三和銀行、セブン-イレブン・ジャパンなどを経て、起業した。

業界で初の上場後、沖縄に拠点

2012年に東証マザーズ上場。企業としての発足は業界で後発組だった、株式上場はトップを切った。同年、沖縄県名護市に業務センターや営業拠点の那覇オフィスを開設した。

インドのコンビニに参入

2019年、社名をインパクトホールディングスに変更した。同年、インドのコンビニ事業に参入し、1号店開設した。


■ ライドオンエクスプレス(2020年5月推奨)

業種 寿司の宅配
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
1,494円
(2020年5月7日)
推奨後の高値 1,786円
(2020年5月25日)
上昇倍率 1.2倍
現在の株価 こちら→
市場 東証1部
(2013年12月、東証マザーズに上場)

最大手「銀のさら」

ライドオンエクスプレスは、寿司の宅配の最大手。「銀のさら」で知られる。

全国360店以上、高齢者に人気

銀のさらは、全国360店以上ある。フランチャイズと直営の方式を組み合わせている。高齢者に人気が高い。

低価格「すし上等」と合わせてシェア5割超

さらに、銀のさらよりも低価格で、容器を使い捨て方式にした宅配寿司「すし上等!」も展開する。両ブランドをあわせると、宅配(デリバリー)寿司の市場におけるシェアは50%超となる。業界で圧倒的な強さを誇っている。

釜めし「釜寅」も

寿司以外の料理の宅配事業も行っている。まず、釜めしを使った弁当・定食がメインの「釜寅」が180店以上ある。カレー、とんかつなどがある。

<ライドオンの宅配の店の種類>
店名 内容
「銀のさら」 寿司(容器が桶。後で容器を回収する。ネタが大きめ)
「すし上等!」 寿司(容器が使い捨て。低料金。ネタが小さめ)
「釜寅(かまとら)」 弁当・定食(釜飯式の炊き込みご飯を使用)
「カレーキャリー」 カレー
「あげ膳」 とんかつ
 

一つの場所で複数のブランド

同一の設備で、複数の店(ブランド)を展開しているため、効率が良いが強みだ。食材、人材、ノウハウなどを相互に活用している。また、配達先のお客さんのデータベースも共通化している。

宅配の代行事業も

商品を玄関先まで届けるため全国に張り巡らせた宅配網を生かして、「インフラ」企業に脱皮するための取り組みを続けている。 その一つの例が、他の飲食店の宅配を代行する事業である。

「ファインダイン」

こちらは「ファインダイン」というブランドで展開している。もともとは企業買収によって手にいれた事業である。ファインダインでは、通常は出前や宅配をしていないレストランの本格料理を自宅などで手軽に楽しめることを持ち味としている。

1991年創業。創業者は江見朗、松島和之氏

2001年の設立だが、創業はその10年前の1991年である。創業者は、社長の江見朗(えみ・あきら)氏と、現副社長の松島和之氏。

アメリカで寿司職人

江見氏は、アメリカで寿司職人(板前)として7年間働いたという経歴を持つ。江見氏は1960年、岐阜県生まれ。県内トップの進学校、県立岐阜高校を卒業した。同級生の友人が大学に進む中、学年でただ一人、江見だけが大学を受験せず英会話の専門学校に入学した。

23歳で渡米、30歳で帰国

1983年、自由なアメリカに憧れて渡米。23歳だった。西海岸ロサンゼルスの寿司バーなどで板前を務めた。米国に骨をうずめるつもりで、永住権の取得を目指していた。しかし、30歳のとき、家庭の事情でやむをえず帰国する。

懐石料理の板前に

地元・岐阜市の懐石料理店に板前として就職した。しかし、米国の実力社会で生き延びてきた江見氏にとって、日本の調理の現場は退屈だったようだ。板前は、コツコツと食事をつくることに徹し、自分の裁量で仕事を広げたり、改革したりできない。

サンドイッチの宅配

わずか1年板前を辞め、起業することにした。31歳だった。サンドイッチの宅配ビジネスを始めた。パートナーとなったのが、現副社長の松島和之氏だ。

松島氏はアパレル業界出身

松島和之氏は福井県生まれ。21歳から岐阜市内の呉服問屋で5年間働き、その後婦人服の卸会社に移った。繊維産業は低迷していた。

バーで出会う

そんなころ、岐阜のスタンドバーで江見氏に出会った。共同出資で岐阜市の名鉄新岐阜駅(当時)近くに「サブマリン1号店」を開業した。

大苦戦の後に「寿司」にたどりつく

しかし、売れなかった。2人で交代で台車を引き、サンドイッチを売り歩くなど、苦労を重ねた。そんなとき目をつけたのが、江見氏がかつて米国で握った寿司だった。キッチンの余スペースで寿司を作り、宅配メニューに加えた。

店頭せずに宅配に絞る

この寿司の宅配が、大逆転をもたらした。それまで多くの宅配寿司店は、店頭販売を兼ねていたが、江見氏らは宅配だけに絞った。それによって、店舗への投資を抑制できた。そのぶん、寿司に良いネタ(具)を使い、サイズも大きくした。

フランチャイズで中京に展開

そして、早々にフランチャイズ形式を導入。中京地域に広げた。1998年からの3年間で27店を出店した。

C&I Holdingsと共同で新会社

このノウハウをもとに、投資会社ベンチャー・リンク(現C&I Holdings)と共同で設立したのが、ライドオンエクスプレスである。当初は「レストラン・エクスプレス」という社名だった。

ライバルが脱落

当時、国内にはすでに100店舗以上を持つ宅配ずしチェーンが6社ほど存在していた。だが、ライバルが次々と市場から戦線離脱したり事業の縮小に追い込まれた。

「味」と「鮮度」で勝ち抜く

一方、ライドオンは大量出店を成功させた。鮮度管理の一環として九州大学が開発した冷凍のネタを生に近い状態に解凍できる設備を導入するなど、味へのこだわりを貫いたことが、リピーター率の高さにつながった。フランチャイズ(加盟店)を重視し、本部はできるだけスリムに保った。

2013年マザーズ上場、2015年東証一部に

2004年6月には宅配釜めし「釜寅」をスタート。これも成功した。2013年12月にマザーズに上場。2015年11月に東証一部に昇格した。

コロナ渦でさらに飛躍

2020年、コロナウイルスで外食をする人が急減した。その一方で、料理の宅配やテイクアウトのビジネスが拡大した。ライドオンエクスプレスは、この波に乗り、業績と株価を伸ばした。


■ 小僧寿し(2020年7月推奨)

業種 寿司の持ち帰り
推奨時点の株価
(推奨日の始値)
70円
(2020年7月14日)
推奨後の高値 91円
(2020年7月28日)
上昇倍率 1.3倍
現在の株価 こちら→
市場 東証JASDAQスタンダード
(1994年6月上場)

小僧寿しの詳細はこちら→